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介護実習生への企業配属後の日本語教育‼

~ 関東研修センターでは介護の技能実習生に対し、退寮後の試験対策講習を実施しています!! ~

長崎県ごとう人材確保・育成協同組合様より『企業配属後の日本語教育』授業の依頼を受け、フォローアップ授業を実施しています。 組合様のウェブサイトのお知らせページにも記事を掲載していただきました。

企業配属後の日本語教育

『試験対策講習』について

私達は『ただ聞くだけの講習』ではなく『参加型の講習』、学生達がしっかり『参加』できる講習を行っています。 講義形式だけでなく、新しく学習した言葉をふんだんに使った会話練習にも重点を置いています。 講習内容は「語彙」「文法」「読解」「聴解」と科目別にバランスを考え構成しています。

学生に質問をする時も、その学生達の日本語レベルを考えて生徒を選んでいます。 その学生のレベルより少しだけ難しい質問をする事で、生徒は一生懸命その質問に答えようと努力します。 そして、そういった難しい問題に答えることが出来ると、その生徒は『充実感』を感じ、学習が楽しいと思えるようになります。 試験に合格するために一番必要なものは、やはり本人達の『試験に合格したい』という強い気持ちです。 そしてそのためには、『日本語のレベルを向上させることが必要』だということを自覚してもらう事です。 学生によってその気持ちの強さは千差万別です。 なので、我々講師は日本語学習の「内発的動機付け」、つまり受講者自身の内面からくるモチベーションを高めるために、日々様々な工夫をしています。

また日本語能力試験には、各科目の足切り点(※各科目に定められた基準点)があるため、苦手な科目を克服することも大切です。 各学生の「苦手」や「弱点」を見つけ、その生徒に合った学習法を指導しています。 講習時間は限られているため、講習がない日をどう過ごすかが試験合格への分かれ道になります。 そのため適度の宿題を与え、日本語の学習が習慣化するようにしています。 また、新しい言葉を定着させるため学習した言葉を職場でも使うよう指導しています。 ただインプットするだけでは言葉を習得することは出来ません。 何度もアウトプットすることで、その言葉が定着し自分の物にすることができます。

文法

N3試験対策で出題ポイントを説明するだけでなく、その文型を使って現場の実習が円滑に進むよう工夫しています。『〜みたい』の文型を教える際には、介護の現場ですぐ使える例文を提示するよう工夫しています。

例)「201号室の〇〇さんですが、風邪を引いたみたいです。」

『~みたい』という文型を正しく使えるようになることにより、あくまで利用者さんの様子からの推測であるという的確な報告ができるようになります。

語彙(単語)

各現場で使用する単語が異なるケースもあるため、実習生に都度確認しながら講習を進めています。例えば、実習生は「薬を飲む」という言い方はもちろん知っています。しかし「服薬」という専門用語になると、急に難易度が上がります。そのため、現場で使う「頻尿」「清拭」「着脱」などの専門用語も練習しています。

また、その単語を現場で実際に使う事が出来るように単語と動詞をセットにして文章で教えるようにしています。例えば、「タオル」という単語であれば「畳む」という動詞もセットにし、「タオルを畳む」「タオルを畳んで」など、動詞の活用も練習し、あらゆるケースに対応できるようにしています。

読解

N3試験対策にとどまらず、実際の現場でも役に立つように、介護日誌を題材にした文章を使用するなど、様々な工夫をしています。また短い時間で文章の内容を的確に把握し、読み解く事ができるようにするための練習もしています。さらに漢字に慣れてもらうために、文章はあえて「漢字」を多く使っています。「漢字を制する者は文章も制する」とよく実習生に説いています。

リスニング

音声を聞いて問題を解く練習だけでなく、場面設定を決めて実際に会話の練習もします。以下が例文です。

例)利用者:これは娘にもらった服なのよ。
  技能実習生:そうなんですか、とてもお似合いですよ。

日本語が母国語であれば、上記の会話は何気ない会話に聞こえるかもしれません。しかし日本語学習者から見れば高度なテクニックが必要です。『即座に反応し、自然なニュアンスで利用者様を褒める』という技術が要求されるからです。それを踏まえ、リスニング練習を重ね、的確な日本語で答えることが出来るよう、練習をします

『技能検定試験』について

受入れ企業や監理団体の皆様はすでにご存知の通り、技能実習1号の期間は1年のみです。 技能実習2号に進むためには「技能検定試験」を受けなければなりません。 「技能検定試験」は日頃の実習でどれだけ技術を習得したか、経済発展を担う人材として育っているか、などを客観的に判断するために行われます。

試験は学科試験と実技試験があり、両方に合格しなければなりません。学科試験は試験の説明など全て日本語で実施されます。 試験の内容は日本語さえ分かればそれほど難しいものではありません。漢字にもルビが振ってあります。 しかし「患側(かんそく)」「臥床(がしょう)」「褥瘡(じょくそう)」など専門用語も出てくるので、ちゃんと試験対策の勉強をしないといけません。 再試験は一度だけ受けられます。しかし再試験でも不合格だった場合は入国して1年で帰国しなければなりません。 1人の技能実習生を受け入れるためにたくさんの労力と資金をかけたのに、たった1年で帰ってしまったら本人だけでなく、受入れ企業や監理団体にとっても残念でなりませんよね。

『日本語能力試験 N3』について

また介護実習生は、介護の試験だけでなく日本語能力試験のN3にも合格しなければなりません。 N3は『日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる』レベルで、合格するためには漢字600字、語彙数3000個を覚える必要があります。 学習時間の目安は450時間~600時間です。

実際の現場で、実技や会話を学ぶ事はできると思いますが、日本語の読解の向上を図るのは難しいです。 また日常会話ではあまり使われない言葉や文法などもたくさんあるため、語彙数も会話のみでは充分ではありません。

なぜ『試験対策講習』が必要なのか

毎日センターで教えるのとは違い、試験対策講習は時間が限られています。 しかし、N3合格のための勉強法や問題を解くコツなど、私達日本語講師だからこそ教えられる事もあります。 勉強法さえ分かれば勉強の時間を効率的に使う事ができます。また問題を解くコツが分かれば、問題を解く時間が短くなり点数アップに繋がります。

また授業を行うことで、自分達の語彙力がまだ充分でないことを再確認させ、『ちゃんと勉強しなければ試験に合格できない』ということを自覚してもらう事ができます。 N3に合格するためには授業以外の時間にしっかり自分で勉強してもらわなければいけません。 私達日本語講師は日本語の勉強は面白いと実習生に感じてもらい、『日本語を勉強したい』という学習意欲を上げるお手伝いができると信じています。

センターにいる時はみんな一生懸命日本語を勉強しますが、仕事が始まると今までのように勉強を続けるのが難しいのです。 外国で働くという事は想像以上にとても大変な事です。最初は環境や仕事に慣れる事でいっぱいいっぱいで、帰ったら疲れきっていて寝てしまう。 そんな生活が続いて、なかなか勉強の時間が作れないのが現実です。そんな実習生達の手助けが少しでもできればと思っています。

教材は関東研修センター独自で作成したものを使用しています。
介護以外の技能実習生の試験対策講習にも対応致します。
是非一度ご相談ください。